レジチョイス的視点で捉える「リテールテックJAPAN 2017」

入口から見た会場の様子

東京ビッグサイトで2017年3月7日~10日の4日間、日本経済新聞社主催で開催された第33回流通情報システム総合展「リテールテックJAPAN 2017」に行ってきました。現在開発中の生体認証システムや、RFID(電子タグ)、VR(ヴァーチャル・リアリティ)を利用した近未来型のネットショッピングなど、未来を予感させる展示や業界の動向、そして各社の取り組みを紹介するセミナーやプレゼンなどなど、盛りだくさんの4日間でした。今回は数ある展示やセミナーから興味深かったものを厳選してご紹介します。

日立<HITACHI>が描く未来の店舗

指静脈決済の仕組み

日立のブースでは、レジを設置する必要がない将来のお店の姿を紹介していました。未来のお店には財布もスマホも必要ありません。手ぶらで出かけていき、カートに設置されたタブレットで指の静脈を読み取り、本人確認をして入店します。

お店にはロボット店員がいて欲しい商品の場所を教えてくれたり、カートのタブレットには関連商品やおすすめ商品が表示されたりします。購入したいものを見つけたら、タブレットにバーコードを読み込ませてカートに入れます。欲しい商品を選び終わったら、再びタブレットに指をかざして決済を完了させられるので、レジに並ぶ必要はありません。

ネットショップでも生体認証でお支払い

ゴーグルの向こうに見える仮想ショップのイメージ

ネットショップではVRゴーグルを装着して、友達のアバターとショッピングを楽しむことができます。視線追跡技術を利用しているので、画面に表示された商品から欲しいものを選んで、一定時間見つめるだけでカートイン!視界の片隅に表示されるボタンを凝視するとカートの商品が確認でき、ゴーグルに指をかざして支払完了。後は商品が届くのを待つだけです。

レジのない店舗でもネットショップでも、指静脈情報に紐づけられた購買履歴などから、AI(人工知能)がお客様の好みや関心の高い商品を優先的にすすめることができます。また詳しい商品情報や関連情報を表示することもできるので、平均客単価を上げることができそうだと感じました。

実際にVRゴーグルを装着してネットショップを体験してみましたが、コントローラーを一切使わず視線だけで商品を選び、手をゴーグルの前に出すだけで支払いが終わってしまう手軽さは衝撃的でした。従来のネットショッピングに比べて非常に簡単で、パソコンやスマホの操作に苦手意識がある人にも楽しんで利用できるのではないかと思いました。

商業の工業化を目指すベイシアの業務改善

セミナーの様子

会期中に開催されていた各種セミナーでは、法改正に関するレクチャーや企業や団体の取組みが紹介されていました。リテールテックユーザーズフォーラムと題したセミナーでは、関東を中心にショッピングセンターを展開するベイシアが、さまざまな改善事例を発表していました。このセミナーでは小規模店舗でもお手本にできそうな取り組みがありましたので、一部をご紹介します。

混雑予測でレジ待ちを解消

食品を扱う「ベイシア」と傘下のホームセンター「カインズ」を併設し、レジを1か所に統合することで売り上げを伸ばしてきたベイシア。しかしお客様からの不満の1つにレジ待ち時間の長さがありました。

そこで入り口とレジ前に映像センサーを設置し、来店者やレジ待ちの人数と性別や年齢を把握。レジ待ち解消システムでレジの混雑状況を予測し、15分単位でレジの開け閉めを調整することで、混雑の解消に成功したそうです。手が空いたスタッフは清掃や商品の補充など、短時間でできる作業に当たることで勤務時間の短縮にもつながったそうです。

現金管理業務の改善

またレジ業務について詳しく調べたところ、お客様からお預かりした現金を金種毎にドロアに入れる作業に一番時間がかかっていることが判明したため、自動釣銭機を導入。またバックオフィスには入出金機を導入し、現金を自動で数えてPOSデータと連携させることで、本部で現金の過不足や金種別有高情報、入出金や操作ログを管理できるようにしました。これにより現金管理業務にかかる時間を3分の1に短縮することに成功したそうです。

POSデータを活用し総菜の販売実績UP

商品の販売状況を店舗ごとに分析することで、売上げを改善したという事例もありました。ある惣菜について店舗ごとの売り上げを比較したところ、思うように売り上げが伸びていない店舗が見つかりました。そこで最終販売時刻を調べると、その店舗では惣菜が売れる夕方にその商品を作っていないことがわかりました。そのため、夕方にもその惣菜を作って店頭に並べるよう本部から指示したところ、売り上げが他と同じ水準に改善したそうです。

まとめ

小規模店舗の運営においては、安易に高価な機器を導入したり、こまめに改装したりするわけにはいきません。しかし最新機器に触れたり、改善の成功事例を見聞きしたりすることは、今後どのように自分のお店をプロデュースしていくのかをイメージするのに非常に役立つと思います。

リテールテックが開催された東京ビッグサイトでは、「JAPAN SHOP」や「ライティング・フェア」などのイベントも同時開催されていました。お店を華やかに演出する内装やディスプレイに五感を刺激されました。どのイベントもそれぞれに個性があり、エネルギーに満ち溢れていました。

次回は2018年3月6日(火)~9日(金)の4日間、東京ビッグサイトで開催予定です。今回足を運べなかった方、来年は会場でお会いしましょう!