ベートーベンを生んだドイツも認めたデザインの【飲食店専用POSレジ】とは?

去年の夏、自由が丘の「ふなわかふぇ」に行った。芋ようかんで有名な舟和のカフェである。駅から徒歩2分の好立地で、カラフルなあんこ玉と拍子木状の芋ようかんを模した愛らしい外観が出迎える。入口すぐのカウンターで注文して2階に上がると、大きな木が1本そびえ立っている。そしてその根元には、ゆったりとしたソファーと柔らかく抑えられた照明。いつも立ち寄る浅草本店の古めかしい店構えとはかけ離れていて、軽い衝撃を覚えた。

このところ、以前にも増して空間にこだわる店が増えているように感じる。コンセプトカフェなどはいい例かもしれない。壁紙からテーブル、食器、さらにはBGMまで厳選して作り上げられた空間は、慌ただしい日常を忘れさせるとともに、くつろぎのひとときを与えてくれる。

ところが、このこだわり抜いた空間の調和を乱すものがどこの店にも存在している。レジスターだ。従来型のレジはサイズが大きくて目立つのに、デザイン性に乏しいモノが多いと言わざるを得ない。客の身勝手な言い分であることは重々承知しているし、レジの周囲を覆って隠している店が多いのも事実だ。だが、その隙間からいかめしい機械が目に入ってしまうと、いささか興醒めなのである。読者の中にもインテリアに合ったレジが見つからず、お困りの方が多いのではないだろうか。

カフェイメージ(シリーズ)

そんな中、今年10月に朗報が届いた。かねてよりレジチョイス編集部が注目しているブレイン株式会社のPOSレジが、世界最高峰と名高い「ドイツデザイン賞」の最高賞を受賞したのだ。

ドイツ連邦公式の「ドイツデザイン賞」はドイツデザイン協議会によって運営されている賞で、優れたプロダクトとデザインの発展に貢献した人物を、それぞれ隔年で選定する。

この賞は審査が非常に厳しい。ノミネートされるためには「iFデザイン賞」や「レッド・ドットデザイン賞」といったドイツ国内のデザイン賞を受賞していることが条件となる。
「iFデザイン賞」は“デザイン界におけるオスカー賞”を自称し、世界的に最も権威のあるデザイン賞の一つだ。デザイン振興のための国際的な組織インダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーバーが毎年開催し、毎年全世界の工業製品等を対象に優れたデザインを選定する。
「レッド・ドットデザイン賞」はノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンターが選定を行っている。過去2年以内に製品化されたデザインを対象とし、デザインの革新性、機能性、人間工学、エコロジー、耐久性など9つの基準から審査される。
このことから、審査対象に選ばれただけでも十分名誉であることがおわかりいただけるであろう。さらにドイツ各州の経済省および関連機関が審査を行うので、受賞にまでこぎつけるのは本当に難しいのだ。

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ブレイン社のPOSレジは日本の「グッドデザイン賞」を皮切りに、ドイツの「レッド・ドットデザイン賞2015最高賞」、さらに「iFデザイン賞2016」も受賞している。しかし今年度の「ドイツデザイン賞」は約4,000点ものエントリーがあった。最も優れた製品45点(約1%)にしか与えられない「最高賞(金賞)」を、こうもあっさり受賞するとは誰に予想できただろうか?

世界に認められたこのPOSレジは、タブレット・金額表示器・レシートプリンターの3つの部品を、電子基板を介して一体型にした新しいレジだ。従来のPOSレジが持つ問題は「デザイン性の低さ」「サイズの大きさ」「価格の高さ」「操作の複雑さ」という4点に集約されるが、この製品はこれらすべての問題を見事に解決している。

また、従来型に迎合しない直線のフォルムとシンプルなデザイン、そして本体サイズがこれまでの約1/2と非常にコンパクトな設計だ。詳しい仕様については以前の記事「【中規模店舗以上の飲食店にお勧め】各国のデザイン賞を3年連続で受賞し続けているPOSレジを徹底調査」に譲るが、タッチパネルで直観的な操作が可能。スマホ感覚で扱うことができ、新人スタッフが注文を取るのに手間取ることもないだろう。また飲食店専用のPOSレジなので、顧客に応じて別会計や合算会計、また深夜料金の加算も簡単にできる。一方、飲食店ではあまり必要とされない機能は排除されており、無駄がない。

レジ本体にタブレットを採用することで200万円を超える従来型と比べて1/5以下の低コストを実現しているところも魅力的だ。一定の条件をクリアすれば補助金の対象となり、ブレイン社が申請の代行まで請け負ってくれるというのだから至れり尽くせりではないか。

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過度な装飾を省いて形式美や機能性を重視する姿勢は、ハイドンやベートーベンの音楽に通ずるものがある。こうして見てみると、ドイツの賞を総ナメにしたのは必然なのかもしれない。このビジュアルなら、地元の客でにぎわう洋食屋から、ハイブランドが手掛けるラグジュアリーなカフェまで、どんな店に置かれていても違和感はないだろうし、機能性も申し分ないだろう。

レジにデザインは必要か?と多くの人は考える。確かにレジはお金の管理をするのが使命であって、その役割が果たせなければ存在する意味もない。しかし細部にまでこだわって演出された店内に、無遠慮なレジがドン!と居座っているのと、控え目でスタイリッシュなこのPOSレジがあるのとでは雲泥の差だ。場合によっては経営者の美意識さえも疑われかねない…とは言い過ぎだろうか?

質の良い店には質の良い客が集うもの。当然、何よりもまず中身が良質でなければならないが、できることなら全てにおいて非の打ちどころのない店に通いたい、というのが客の心情だ。個人的には手打ちにこだわる蕎麦屋の店先に、さりげなく鎮座させたい逸品である。