【初心者向け】レジの歴史から見る「POSレジ」と「レジ」の違い

独立、起業などで新規出店を模索する中で打ち当たる疑問の一つに「POS(ポス)レジって何なの?」というものがあるのではないでしょうか。今日はレジの歴史をたどりながら、その疑問をスッキリと解決したいと思います。

POSレジって何?

まず「POS」という言葉ですが、これはPoint of Salesの略で「販売時点情報管理」と訳されています。一言で説明すると「売上げと在庫を管理すること」。…うーん、どこのサイトでもこの程度のことは書いてありますが、具体的なイメージが湧かなくてわかりにくいですね。

元々は商品を販売した時点で、その情報を記録・集計することを意味していました。現在は販売の記録・集計だけでなく、集計した情報に基づき様々な管理・分析を行う機器として「POS」「POSレジ」「POSシステム」を意味することが多くなっています。

ちなみに通商産業省(現経済産業省)は、「POSシステムは、光学式自動読取方式のレジスターにより、単品別に収集した販売情報や仕入れ、配送などの段階で発生する各種の情報をコンピューターに送り、各部門がそれぞれの目的に応じて有効活用できるような情報に処理・加工し伝送するシステム」と定義しています。

POSレジは商品をスキャニングして記憶する

そもそもレジって何?

レジ(レジスター)といわれて最初に思いつく機能としては金銭の保管や売上げの管理ですよね。レジの歴史が分かるとPOSレジと通常のキャッシュレジスターの違いも分かりやすくなるので、ここで簡単にレジの歴史を簡単に見てみましょう。

レジの黎明期

世界最初のレジスターは1878年、アメリカのジェームズ・リティというカフェ経営者が、売上金のごまかし等の不正防止のために作ったものと言われています。当時のレジは置時計のような形で長針と短針があり、長針で「ドル」、短針で「セント」を表示して、客と店員双方が取引の金額を確認するためだけのものでした。文字通り、売上金を「登録する(Register)」だけのものでした。

世界最古のレジスターといわれる「ダイアル・レジスター」

世界最古のレジスターといわれる「ダイアル・レジスター」(画像出典:[株式会社日本NCRホームページ])

レジの電動化

発明されたとき、レジは手で回すハンドルと歯車で動いていました。ところが1900年代に入ると電動になり、その後コンピューターとの連携が始まります。そしてレシートの発行機能や取引の集計・管理機能が搭載され、徐々に販売時点の情報管理(POS)に関心が集まりだすのです。

POSレジによる劇的な販売革命

1970年代になるとPOSレジシステムが登場。バーコードによるスキャニング・システムが取り入れられ、あらかじめ登録してある商品の情報をバーコードで読みとらせることで、売上登録を正確に行えるようになりました。これによりアメリカのスーパーマーケット業界は取扱品目を3倍に増やし、1980年代には大きく収益を伸ばしました。

アメリカでは1916年にスーパーマーケットが登場しました。薄利多売によって1960年代終盤にはアメリカの食品雑貨店ビジネスの4分の3を占める程に成長したのですが、一方で利幅の減少が止まらず、1970年には売り上げに対する利益が1%という異常な状態でした。経営者を悩ますこの問題を見事に解決したもの…それがPOSレジシステムだったのです。

ここで劇的な革命の立役者となったのがバーコードの技術です。バーコードは1948年に考案され1952年には特許を取得していますが、POSレジシステムに採用されるまではあまり日の目を見ることのない“枯れた技術”でしたが、これを機に現代社会になくてはならないモノに成長しました。

日本のレジの歴史

日本では1897年にアメリカからレジスターが輸入され、客の要望を聞いて奥から商品を出してくる「座売り方式」から、品物を陳列し、客が自由に見て回れる「陳列販売方式」へと徐々に移行していきます。

1904年、三越呉服店(現:三越伊勢丹)のデパートメントストア宣言を皮切りに高島屋や白木屋(現:東急百貨店)、阪急百貨店などの百貨店が次々とオープン。1910年頃からは百貨店へのレジの導入が進み、加算機能や取引の明細とその合計の表示、レシート発行機能などが追加されます。

そして1972年、ダイエーと三越百貨店でバーコードによる自動チェッキングシステムのテストが初めて行われました。その後、各電機メーカーのバーコードが流通共通シンボルに統一され(JANコード)、1984年、全国に約2000店舗を展開していたセブンイレブンが本格的なPOSレジを導入します。

セブンイレブンがPOSレジを導入した理由

セブンイレブンは開業当時、問屋からの仕入れが大きなロットにまとまっていたため、在庫管理に苦労していました。そこで、ひとつの地域に集中して出店する「ドミナント戦略」を実行します。1店舗あたりの量は少なくてもエリア全体の店舗を合わせると大量になり、各店舗が近くにあるので小分け配送が可能となったのです。

小分け納入のためにはどの商品が何個売れたかという情報を把握し、随時注文数を確定させる必要があります。ところが従来の合計金額のみがわかるキャッシュレジスターには、せいぜい部門別の分類がある程度で、商品の詳細まで記録する機能はありません。

そこで一つ一つ手作業で集計するわけですが、これには大変な手間がかかります。POSレジはこうした集計作業を自動化し、飛躍的に業務効率を向上させ、ひいては百貨店、スーパー、コンビニ、専門店へとPOSレジが普及するきっかけとなりました。

なお、セブンイレブンではPOSレジを導入することで「いつ、どこで、どんな価格で、何個売れたのか」という膨大なデータを集められるようになり、このデータを活用することで「仮説検証型発注」という仕組みも誕生させています。セブンイレブンは世界で初めて「マーチャンダイジング ( 消費者需要に合致する商品を適切なタイミングと価格で提供する手段および企業活動のこと)」にPOSデータを活用した企業として知られています。

セブンイレブンは1982年からPOSレジを導入

「セブンイレブン」は1982年からPOSレジの導入を開始しシステマチックなレジ業務を行っている。(画像出典:[セブンイレブンホームページ])

ここまで進化した現在のレジ事情

従来型のレジにもさまざまな機能が追加され、商品名を登録するだけでなく売上データをSDカードなどに移してPCに取り込めるようにもなっています。ただ、統計を扱ったことがあれば誰もが感じることですが、その統計の分析結果が信頼できるかどうかは「正確なデータ」を集められるかどうかが鍵になりますよね。

収集したデータが不正確だったり、条件が曖昧だったりすると、どんな分析を行っても信用できる統計にはなりません。でもその「正確なデータ」を人の手で集めるのはなかなか難しいのが現状です。POSレジはそのデータ収集と集計の自動化を実現した画期的な技術だと言えるでしょう。

一昔前のPOSレジはバーコードで商品情報を読み込み、販売情報を蓄積するレジでした。しかし最近ではバーコードがなくても正確にデータ収集ができるシステムが開発され、インターネットやタブレット端末を利用して、いつでもどこでもリアルタイムでデータを閲覧できるまでに進化しています。さらに集計したデータに基づいて自動で発注できたり、勤怠管理機能が付いていたり、その進歩は留まるところを知りません。

ちなみに居酒屋さんで良く見られるタッチパネル式の注文システムもPOSの技術です。それどころか食券の券売機の中にもPOSシステムを搭載しているものがあるって、ご存知でした?

POSレジは百貨店やスーパーだけでなく街の飲食店や美容院、調剤薬局などにも取り入れられ、その技術はとても身近なものになっています。成功事例は『飲食店のIT活用で多店舗展開を成功させた 「レシピ&マーケット」の秘訣とは?』『小規模店舗でもITを活用してこだわりを実現する開業が可能に!』で紹介しています。導入をお考えの方にはきっと役に立つ情報が満載です。

まとめ

こうして見てみるとPOSレジの種類も多岐にわたっており、一言で説明するのはなかなか難しいものですね。
レジチョイス編集部の独断と偏見でPOSレジの条件をまとめると、

  1. あらかじめ商品情報を登録し、バーコードや専用端末でデータ照会して販売情報を記録できるレジである。
  2. 販売情報をリアルタイムで集計・管理・分析できる。

以上の2点が挙げられます。とくにリアルタイムで集計できることが一番のポイントです。

販売情報にお客様の情報を組み合わせれば、顧客の来店ペースにあわせてDMを送ったり、顧客をセグメント化することでターゲットを限定したキャンペーンを実施したり、色々な施策を効果的に打てます。またメインとなる顧客を数字で示してみると、感覚でとらえていたのは違う結果が得られ、お店を客観的に捉えるきっかけになるかもしれません。アイデア次第でPOSレジの活用方法は無限に広がりそうです。

POSレジは経営改善やマーケティング戦略の立案に寄与するレジです。それは間違いなく経営者を成功へと導きます。レジを置くのであれば、売上管理だけでなく在庫管理もデータマイニングもまとめて出来るPOSレジがやはり最適です。
そんなレジチョイス編集部は、あなたのレジ選びに役立つ情報をこれからも提供をしてまいります。どうぞお楽しみに!